竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「それなら、少し出かけるか」

 すぐそばで響いたイーヴの声に、シェイラは目を輝かせた。

「いいの!?」

「アルバンが朝食の支度をしてるから、あまり遠出はできないけどな」

 それでもいいなら、と言われて、シェイラはこくこくと何度もうなずいた。そんなシェイラに頬ずりするように鼻先を寄せたイーヴは、瞬きする一瞬でまた人の姿に戻った。

「空は冷えるからな、ちゃんと厚着をしてこい」

 そう言ってぽんと頭を撫でられて、シェイラは大きくうなずいた。

「急いで着替えてきます!」

 準備ができたらまた中庭に来るように言われ、シェイラは大急ぎで部屋に戻った。
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