竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「シェイラのやりたいことがあれば、何でも教えてくれ。俺にできることなら、叶えてやるから」

「それなら一緒のベッドで眠りたいです! 夫婦の営みを、私たちもすべきじゃないかと」

 張り切ってそう答えたら、イーヴは額に手をやって眉を寄せてしまった。

「……それ以外のことで頼む」

「やっぱり、だめですか」

「前にも言っただろう。俺がシェイラにそういうことを求める気はないし、好いた相手とすべきものだと」

「分かってます、けど。でもやっぱり、夫婦らしいことをしたいと思うんです」

 むうっと唇を尖らせつつ、シェイラはつぶやく。イーヴは何もしなくていいと言うけれど、それではシェイラの存在意義が分からなくなってしまう。

 生贄としての役目の代わりに、イーヴの妻として何かをしたいと思うのはだめだろうか。

 うつむいたシェイラの表情に気づいたのか、イーヴが小さく息を吐いて頭を撫でてくれる。
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