竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
 生まれた時から生贄となることが決まっていたシェイラは、伯爵家に生まれていながら、屋敷の奥にある部屋からほとんど出ることなく育った。

 いずれ来る別れの前に情が移るのを避けたかったのか、両親はシェイラの部屋に寄りつかず、ほとんど顔を合わせたことはない。

 部屋を訪ねてくる家庭教師から一応ひととおりの教育は受けたものの、読み書きやマナーレッスンなど、教えられたのは基礎的なことだけ。

 成人すれば生贄として喰われるシェイラよりも、聖女であるマリエルの方に力が入るのは当然のことだろう。彼女はいずれ、王族の誰かのもとに嫁ぐことが決まっていたから。

 物覚えの悪い方ではなかったシェイラは早々に教えられたことを完璧に覚えてしまい、あっという間に家庭教師も来なくなってしまった。だから、誰かと過ごすよりもひとりで過ごした時間のほうが長い。
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