竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
 シェイラを抱き寄せたルベリアは、頬に手を触れると驚いたように目を見開いた。

「どうしたの、シェイラ。すごく冷えてるじゃない」

「あぁ、ちょっと空を飛んできたから」

 何気ない口調で言ったイーヴの言葉に、ルベリアは一瞬口をぽかんと開けたあと、きゃあっと叫んでシェイラを強く抱き寄せた。

「すごいわ、シェイラってば、イーヴの背に乗ったの?」

「え? うん、空を飛んでみたいってお願いしたら、連れて行ってくれたの」

「えぇっ、詳しく話を聞かせてちょうだい!」

 身を乗り出すルベリアに、シェイラは戸惑って目を瞬き、イーヴは眉間の皺を深くした。

「話はあとだ。シェイラの身体が冷えてるから、何か飲み物を……、っと、アルバンはいないんだったか」

 厨房の方に視線をやったイーヴは、小さく息を吐くとシェイラの背を押した。

「何か身体のあたたまるものを持ってくるから、シェイラは座ってろ」

「あたしの分もよろしくねー」

「図々しいやつだな」

 手を挙げるルベリアに苦笑しつつ、イーヴはソファで待つようにと言って厨房の方に姿を消した。
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