竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「あーあ、逃げちゃった。そんなに照れなくてもいいのにね」

 ため息をつきつつルベリアは、シェイラの顔をのぞき込む。

「照れてた……のかな、イーヴ」

「どう見ても照れてたわよ。いつもああやって頭を撫でてるんでしょ? うっかりあたしに見られて恥ずかしかったのね」

 くすくすと笑うルベリアにいつも頭を撫でられていることを指摘されて、シェイラは思わず頭に手をやってしまう。

「シェイラはあたしたちに比べると小さくて可愛いから、つい頭を撫でたくなる気持ちは分かるけど」 

「竜族の皆さんは、背が高いから」

「そうなのよ。シェイラみたいな小柄で華奢な体型にも憧れるけど、こればかりは種族の特徴だから仕方ないわね」

 ルベリアがまた可愛いとつぶやきながら、シェイラを抱き寄せる。豊満な胸に顔を埋めるような体勢になったせいか服の胸元がずり下がり、鱗が目の前にあらわれた。深い谷間のちょうど真上に、黒い鱗が数枚輝いている。黒曜石のようなそのきらめきに、シェイラは思わず見惚れた。
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