竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
 身体を起こしつつ、シェイラは笑顔でルベリアを見上げた。

「ルベリアの鱗は、黒なのね」

「え? あぁそうね、あたしは黒竜の一族だから。というかシェイラ、あたしたちの鱗の存在を知ってるの?」

「イーヴにも見せてもらったから。イーヴの鱗も青くて綺麗だったけど、ルベリアの鱗も素敵」

「ありがとう。でも、驚きだわ。イーヴがシェイラに鱗を見せるなんて」

 ルベリアは、服の下の鱗にそっと触れながら笑みを浮かべる。

「あたしたちにとって、竜族の証であるこの鱗はとても大切なものなの。だけどシェイラたち人間にはないものでしょう、怖がらせたり気持ち悪がらせたら申し訳ないから、あまり見せないようにしているのよ」

 その言葉に、シェイラはイーヴやルベリアの服装を思い浮かべる。確かに皆、胸元を見せない服を着ていたはずだ。イーヴはいつだってシャツのボタンをしっかり留めていたし、ルベリアだって露出の多い服装の割に胸元はいつも覆われていた。



 きっとシェイラを怖がらせないように、皆が気を遣ってくれていたのだろう。竜の姿を見せないようにしていたことといい、彼らの優しさで守られてばかりだ。
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