竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
 だからシェイラは、笑顔で首を振った。

「私は、怖くないし気持ち悪くもないわ。だってすごく綺麗だもの」

「シェイラがそう言ってくれて嬉しいわ。この鱗はね、心を許した相手にしか見せないし、触らせないのよ」

「そうなの? じゃあ、イーヴは私に心を許してくれてるのかな」

 少し嬉しくなりつつ、シェイラはイーヴの鱗に触らせてもらったことを話す。ルベリアは小さく息をのんだあと、それはそれは嬉しそうに笑った。

「そりゃもう、めちゃくちゃ心を許してるに違いないわ。鱗を触らせて、背に乗せて空を飛ぶなんて、今までのイーヴなら考えられないことだもの。本当に、シェイラが来てくれて良かったわ」

 ありがとうと両手を握られて、そこまで感謝されることだろうかと思いつつも、シェイラはうなずく。

「でも私、イーヴの花嫁って言われてるけど、花嫁らしいことは何もしてないの」

「花嫁らしいこと?」

「ほら、私たちは夫婦だし一緒のベッドで寝たいのに、イーヴはそれはだめだって言うの。夜の営みだって、全然させてくれないし」

 不満な気持ちを込めてため息をつくと、ルベリアが飲んでいたお茶に盛大に咽せた。

「ちょ……、シェイラ、夜の営み……って」

「夫婦なら、あって当然でしょ? 私は、花嫁としての役目を果たしたいのに、イーヴは必要ないっていつも言うの。もしかして、何かやり方が違うのかな」

 どう? とルベリアを見上げると、彼女は赤くなった頬を押さえつつ横を向いてしまった。
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