竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「あんた、そんな幼い顔してすごいこと言うわね……。こっちが照れてしまうわ」

「竜族からしたら子供に見えるかもしれないけど、私だってもう成人してるのよ。ルベリアみたいに色気があれば、イーヴもその気になってくれたのかなぁ」

 うーむと唸るシェイラを見て、ルベリアは躊躇いがちに手を握った。

「あのね、シェイラ。イーヴの事情は置いておいて、性行為っていうのは軽い気持ちでするものではないと思うの。シェイラがイーヴの花嫁としてドレージアに来てくれたのはあたしも嬉しく思ってるけど、それとこれとは話が別よ。やっぱりシェイラには、好きな人として欲しいと思うもの」

「イーヴもそう言うけど……、私はイーヴのこと好きだと思ってるけど、それじゃだめなのかな」

「シェイラの言う『好き』は、どういう意味か……によるわね」



 ルベリアの言葉に、シェイラは首をかしげて考え込んだ。そして言葉を選ぶようにゆっくりと口を開く。

「えっとね、ルベリアのことも、エルフェやレジスさんもアルバンさんのことも、好きなの。だけどね、イーヴはもっと好き。イーヴに頭を撫でてもらうとすごく心がぽかぽかして嬉しくなるの。もっと撫でてほしくなるの」

「あたしがこうするのとは、違う?」

 優しく笑ったルベリアが、シェイラの頭をそっと撫でた。柔らかなその手のぬくもりは嬉しいけれど、イーヴにそうされた時のように胸の高まりはない。

「うん。ルベリアに撫でてもらうのも好きだけど、やっぱり違うの」

「そうなのね。じゃあシェイラは、名ばかりの花嫁ではなくて、イーヴと愛しあう本当の夫婦になりたいと思っている……ということでいいのかしら」

「愛し、あう……」

 復唱したシェイラは、じわじわと熱を持った頬を押さえる。イーヴに抱くこのふわふわとした気持ちに名前がついたような気がして、何だかものすごく照れくさい。
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