竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
 かつて何度も読んだ恋愛小説のラストは、いつだって愛しあう二人が結婚をして幸せに暮らすシーンだった。そんな未来を、シェイラもイーヴといつか迎えられるだろうか。



 未来に思いを馳せて、シェイラはあらためて自分の気持ちの変化に気づく。

 ドレージアに来てから、自分のやりたいことを望めるようになった。欲しいものを欲しいと言うことも、できるようになった。それはシェイラにとって、大きな変化だ。

 だってシェイラの人生は、成人を迎えたその日に終わる予定だったから。未来を夢見ることなんて、ラグノリアでは考えたことすらなかった。

「……うん。形だけじゃなくて、ちゃんとイーヴと愛しあう夫婦になりたいの」

 言葉にすると、より気持ちが固まる。愛しあう二人が結ばれる結婚という形に、シェイラはきっとすごく憧れている。

 うなずいたシェイラを見て、ルベリアはまっすぐにシェイラの顔をのぞき込んだ。

「分かったわ。じゃあ、あたしはシェイラを応援するわ」

 頑張りましょうと両手を握られて、シェイラは大きくうなずいた。





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