竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!? ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「もしもシェイラが俺を怖がっていたら、長はどうするつもりだったんだろうな」
ぽつりとつぶやくと、自分のカップに山盛りの砂糖を入れようとしていたレジスが動きを止めた。小さく息を吐いたあと、レジスは砂糖を入れたカップをスプーンでぐるぐるとかき混ぜる。
「起こらなかったことを、心配する必要はありません。シェイラ様は、あなたに非常に懐いてらっしゃる。怖がってなど、いないでしょう」
「だけど、もしまた……っ」
「イーヴ様」
かちゃりと耳障りなほどの音を立ててスプーンを置き、レジスがイーヴを見る。その表情は酷く真剣で、イーヴは思わず口をつぐんだ。
「シェイラ様は、『あの方』とは違う。そのことは、イーヴ様が一番よく分かっているのでは?」
「……っ」
その瞬間、イーヴの脳裏に一人の少女の姿がよぎる。長い黒髪がうつむいた顔を隠して表情は見えないけれど、きっと彼女は震えながら泣いている。
それは今も忘れることのできない、イーヴが守れなかった人。
「どうしても重ねてしまうのは分かります。我々もそうでしたから。だけど、シェイラ様は大丈夫です。イーヴ様のことを、受け入れてくれているでしょう」
優しく諭すようなレジスの言葉に、イーヴは低く呻いて顔を覆った。そして震える吐息を漏らしながら、ゆっくりと口を開く。
「分かってる。シェイラはあの子とは違う。俺のことを恐れないばかりか、竜の姿だって受け入れてくれる」
ぽつりとつぶやくと、自分のカップに山盛りの砂糖を入れようとしていたレジスが動きを止めた。小さく息を吐いたあと、レジスは砂糖を入れたカップをスプーンでぐるぐるとかき混ぜる。
「起こらなかったことを、心配する必要はありません。シェイラ様は、あなたに非常に懐いてらっしゃる。怖がってなど、いないでしょう」
「だけど、もしまた……っ」
「イーヴ様」
かちゃりと耳障りなほどの音を立ててスプーンを置き、レジスがイーヴを見る。その表情は酷く真剣で、イーヴは思わず口をつぐんだ。
「シェイラ様は、『あの方』とは違う。そのことは、イーヴ様が一番よく分かっているのでは?」
「……っ」
その瞬間、イーヴの脳裏に一人の少女の姿がよぎる。長い黒髪がうつむいた顔を隠して表情は見えないけれど、きっと彼女は震えながら泣いている。
それは今も忘れることのできない、イーヴが守れなかった人。
「どうしても重ねてしまうのは分かります。我々もそうでしたから。だけど、シェイラ様は大丈夫です。イーヴ様のことを、受け入れてくれているでしょう」
優しく諭すようなレジスの言葉に、イーヴは低く呻いて顔を覆った。そして震える吐息を漏らしながら、ゆっくりと口を開く。
「分かってる。シェイラはあの子とは違う。俺のことを恐れないばかりか、竜の姿だって受け入れてくれる」