失恋
「ご飯か……」
おなかは減っている。でも食欲がわかないのだ。女はそのご飯を前にしてSNSを触る。さっきはあんなことを言ったが、まだ立ち直っているわけではない。
「食べよ」
女がご飯を食べると決心したのはそれから三十分経ったときであった。さすがに用意してもらった食事を覚ますのは良くない。
「おいしい」
女は呟く。女にとっては実に二十一時間ぶりのご飯なのだ。冷めているとはいえおいしくないわけがない。
「ねえ!」
翌日女は高橋君に話しかけた。
「あ、ああ」
男は決まりの悪そうな顔をする。もしかしたら恨まれているかもしれないのだ。
「昨日? 一昨日は時間とってごめんなさい。それでは」
と、女は走って去っていった。もう心の整理はついた。後は次の恋を見つけるだけなのだ。