ならば、悪女になりましょう~亡き者にした令嬢からやり返される気分はいかがですか?~(試し読み)
誰が、アウレリアに近づこうと言うのだろう。未来の夫、王子にこんなに疎まれているのに。
フィリオスを囲うようにして集まっている令嬢達は、皆リリアンの友人だ。
ひとりで立っているアウレリアの方に目を向けては、時々ひそひそと扇の陰で囁(ささや)き合う。とても感じが悪いのだが、対抗する術はなかった。
まっすぐに背を伸ばし、彼女達の視線を真正面から受け止める。唇には小さな微笑みを浮かべて。
彼女達には負けないという意思表示だが、できるのはこのぐらいだ。
「デュモン侯爵令嬢、あれを放っておいていいのか?」
不意に横から声をかけられて、アウレリアは飛び上がりそうになった。向き直れば、そこに立っていたのは隣国からの客人である。
遊学のためにこの国を訪問中のベリアンド王国の王太子、エルドリック・ヴァンデール。
ベリアンド王国とこの国の仲は良好だ。国の規模でいえば、ベリアンド王国の方が大きい。大陸一の勢力を誇っており、本来ならば彼がこの国で学ぶべきことはない。
(いいえ、違うわね……)
フィリオスを囲うようにして集まっている令嬢達は、皆リリアンの友人だ。
ひとりで立っているアウレリアの方に目を向けては、時々ひそひそと扇の陰で囁(ささや)き合う。とても感じが悪いのだが、対抗する術はなかった。
まっすぐに背を伸ばし、彼女達の視線を真正面から受け止める。唇には小さな微笑みを浮かべて。
彼女達には負けないという意思表示だが、できるのはこのぐらいだ。
「デュモン侯爵令嬢、あれを放っておいていいのか?」
不意に横から声をかけられて、アウレリアは飛び上がりそうになった。向き直れば、そこに立っていたのは隣国からの客人である。
遊学のためにこの国を訪問中のベリアンド王国の王太子、エルドリック・ヴァンデール。
ベリアンド王国とこの国の仲は良好だ。国の規模でいえば、ベリアンド王国の方が大きい。大陸一の勢力を誇っており、本来ならば彼がこの国で学ぶべきことはない。
(いいえ、違うわね……)