ならば、悪女になりましょう~亡き者にした令嬢からやり返される気分はいかがですか?~(試し読み)
ふたりとも喪服に身を包んではいるが、顔には微(ほほ)笑(え)みが浮かんでいる。葬儀の場にはふさわしくない晴れやかな笑みが。
「皆に聞いてほしいことがある。私は、リリアン・デュモン侯爵令嬢と結婚することに決めた」
リリアンの肩を抱くようにして、フィリオスはそう宣言する。笑みを浮かべたまま。
うっとりと彼を見つめるリリアンも、同じように微笑んでいた。先ほどまでの涙は、どこに行ってしまったのだろう。
「アウレリアは、痛ましい事件で亡くなった。私は、愛しい婚約者を殺した盗賊達を許すつもりはない。彼らを根絶やしにすると――私は、誓う。リリアンと共にアウレリアの遺志を継ぎ、この国のために役立つ人間になる、と」
「――殿下!」
そう宣言するフィリオスと、彼に寄り添うリリアン。まるで、この世界にはふたりしかいないかのように、彼らの目には互いの姿しか映っていない。
だが、その時、カツーンという高い靴音が響いた。女性のヒールの音だ。
参列者達は一斉に、入口の方を振り返る。
「皆に聞いてほしいことがある。私は、リリアン・デュモン侯爵令嬢と結婚することに決めた」
リリアンの肩を抱くようにして、フィリオスはそう宣言する。笑みを浮かべたまま。
うっとりと彼を見つめるリリアンも、同じように微笑んでいた。先ほどまでの涙は、どこに行ってしまったのだろう。
「アウレリアは、痛ましい事件で亡くなった。私は、愛しい婚約者を殺した盗賊達を許すつもりはない。彼らを根絶やしにすると――私は、誓う。リリアンと共にアウレリアの遺志を継ぎ、この国のために役立つ人間になる、と」
「――殿下!」
そう宣言するフィリオスと、彼に寄り添うリリアン。まるで、この世界にはふたりしかいないかのように、彼らの目には互いの姿しか映っていない。
だが、その時、カツーンという高い靴音が響いた。女性のヒールの音だ。
参列者達は一斉に、入口の方を振り返る。