ならば、悪女になりましょう~亡き者にした令嬢からやり返される気分はいかがですか?~(試し読み)
アウレリアの目が、多数集まっている人達の中からようやく婚約者を見つけ出した。彼の側には、アウレリアの異母妹、二歳年下のリリアンがいる。
リリアンは今年社交界にデビューしたばかりで、まだ婚約者は決まっていない。
彼女がまとうのは、年齢にはやや幼いと思われるピンクのドレス。レースとフリルが多数あしらわれているそれは、自分の愛らしさを十分理解しているリリアンでなければ着こなせない。
きりっとした印象のアウレリアとは異なり、リリアンは愛らしさの方が先に立つ。年齢より幼いドレスの好みもそうなのだが、言動が貴族の娘としては幼すぎるのだ。
だが、それもしかたのないことなのかもしれない。
母は、アウレリアが十歳の時に亡くなった。今にして思えば、ふたりの仲は最初から冷めていたと思う。
父であるデュモン侯爵は、母の喪が明けるとすぐにリリアンとその母、当代の侯爵夫人を屋敷に招き入れた。
ふたりが屋敷に来た当初は理解できなかったのだが、十八にもなればわかる。母が生きていた頃から、父は平民出身である現在の侯爵夫人と関係を持っていた。
そうでなければ、リリアンが生まれるはずはない。
リリアンは今年社交界にデビューしたばかりで、まだ婚約者は決まっていない。
彼女がまとうのは、年齢にはやや幼いと思われるピンクのドレス。レースとフリルが多数あしらわれているそれは、自分の愛らしさを十分理解しているリリアンでなければ着こなせない。
きりっとした印象のアウレリアとは異なり、リリアンは愛らしさの方が先に立つ。年齢より幼いドレスの好みもそうなのだが、言動が貴族の娘としては幼すぎるのだ。
だが、それもしかたのないことなのかもしれない。
母は、アウレリアが十歳の時に亡くなった。今にして思えば、ふたりの仲は最初から冷めていたと思う。
父であるデュモン侯爵は、母の喪が明けるとすぐにリリアンとその母、当代の侯爵夫人を屋敷に招き入れた。
ふたりが屋敷に来た当初は理解できなかったのだが、十八にもなればわかる。母が生きていた頃から、父は平民出身である現在の侯爵夫人と関係を持っていた。
そうでなければ、リリアンが生まれるはずはない。