移動初日の歓迎会で記憶を失い朝目が覚めたら女嫌いで有名な先輩が隣で寝ていました

三十四話 ずっと二人で

 レインがユリスに敗北し、捕まってから一ヶ月が経った。

 レインが倒された後、周辺にいた魔石を宿した魔物は特級魔法士であるエデンとロベリオ、応援に駆けつけた魔法騎士団内でも数少ない特級魔法士の部隊によって蹂躙された。

 レインは再度監獄送りとなり、リリィが監禁されていた元施設内はくまなく調べられたが、レインが保持していたであろう魔石はどこにも見当たらない。

 調べに対してレインは、手持ちの魔石は監獄から脱出するために使用したこと、ユリスとの戦いで最後のひとつを使い果たしたこと、各地の魔石はほぼ探索が終わり恐らくはもうどこにもないであろうと言っていたそうだ。


「本当に魔石はもうないんでしょうか」

 研究科の第一研究室内で、ベリアがふとつぶやくと、エデンは腕を組んで目を伏せた。

「今はレインの言うことを信じるしかないだろうな。偽装探知の魔法でも引っかからなかったそうだ、嘘は言っていないはずだ。……そういえば、リリィたちはあの後会いに行ったのだろう。どうだった」

 エデンがそう言ってリリィとユリスを見ると、リリィは少し寂しげに微笑んだ。

「すっかり大人しくなってました。きっともう大丈夫なんだと思います」
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