移動初日の歓迎会で記憶を失い朝目が覚めたら女嫌いで有名な先輩が隣で寝ていました
「お風呂ありがとうございました」

 風呂上がりのリリィはユリスの部屋着を来て居間にいるユリスに声をかけた。

「あぁ、うん……」

 リリィの姿を見てほんの一瞬ユリスは止まり、すぐに魔導冷蔵庫から何かを取り出す。

「ごめん、食べれるものがあんまりなくて、とりあえずこの食品から好きなもの選んで食べて。飲み物は魔導冷蔵庫から自由に飲んでいいから。俺も風呂入ってくる」
「あ、はい、なんかすみません……」

 その場を後にするユリスを見送って、リリィは食品を眺めた。その食品は魔法をかけると自動で出来上がる調理不要のお手軽な食品だが、レパートリーが限られているため飽きやすい。

(普段からこういうものばかり食べてるのかな、食生活乱れすぎじゃない?だからあんなにいつも覇気がないのかな?)



 自分の部屋に戻り風呂の支度を始めようとしたユリスは、扉を閉めてから背中を壁に寄り掛からせてそのままずるずると座り込んだ。
 風呂上がりのリリィの姿を思い出して両手をじっと見つめうなだれ、深く深くため息をつく。

「……なんだこれ」

 ユリスの呟きは静かに部屋に響き渡った。
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