移動初日の歓迎会で記憶を失い朝目が覚めたら女嫌いで有名な先輩が隣で寝ていました
ユリスの部屋に戻ってから、二人はソファに腰掛けていた。もちろんユリスはリリィから少し離れて座っている。
「俺が女性嫌いだということは知ってるよね。そうなった理由が、信じてた当時の彼女に裏切られたからなんだ」
静かに淡々とユリスは話し始めた。
「四年前まで真剣に付き合っていた人がいたんだけどさ、俺が仕事から帰ってきたらちょうど他の男とよろしくやってる最中で。あまりにもショックでその場は逃げるように立ち去ってしまったんだけど、後日なんて言われたと思う?」
ユリスは真顔のまま床を見つめてしずかに息を吐く。
「仕事でほったらかしにするあなたが悪い、他の男は優しくしてくれるって。だったら何をしても許されるのか?そんなことする前に寂しいなら言って欲しかったと言ったら、言わなきゃわからないあなたが悪い、言わなくても気づいてくれないなんて、って言われた。話し合いにならないし、何より俺的に無理だと感じて、じゃあ別れようって言ったら別れたくない、もう二度とこんなことしないからって」
ユリスの話を聞きながらリリィはただただユリスを静かに見つめることしかできなかった。
「耳を疑ったよ。話し合う気はなく一方的に悪く言われて、あげくの果てが別れたくないって。相手の男の気持ちも何も考えてない。本当にもう無理だと思った」
そして寮の自分の部屋に戻ると、ユリスは吐き気をもよおし洗面所でうめいた。
仕事に明け暮れながらもユリスはずっと彼女のことを好きでいたしユリスなりに思いやっていたつもりだった。
それが伝わらなかったのなら確かにユリスにも落ち度がある。だが、ユリスに寂しい思いを伝えることもせずあの女は勝手に他の男と付き合っていたのだ。しかもそれを詫びれもせず、ユリスと別れたくないと言い出した。
(気持ち悪い、最低だ、おぞましい、俺が仕事している時にあの女は他の男と付き合ってよろしくやっていた?吐き気がする。もう二度としないだ?ありえない、あんなことをしておいてどの口が言ってるんだ。しかも相手の男の気持ちも何も考えていないじゃないか。だめだ、もうだめだ。女なんて信じられない)
そうして、ユリスは女性という生き物そのものが嫌いになり、近寄るだけで吐き気や頭痛がするほどにまでなってしまう。もちろんすべての女性がそんな最低なことをするわけではないと頭ではわかっている。だが、どうしても拒否反応がでてしまうし、異性に対する欲は全くわかない体になっていた。
「女なんかごめんだ、もうずっと一人で構わないと思っていた。それなのに、あんたに出会ってからあんたと近くで話しても、触れても吐き気も頭痛もしない。不思議に思ってたら、いつの間にかあんたの姿を見たり触れたりすると体が反応するようになってた。……これが俺に起こってることとさっきの状態の理由」
ユリスの話を聞きながら、リリィはどことなく過去の自分を思い出し胸が痛くなる。
(ユリスさんも、大切に思っていた人に裏切られてたんだ……)
「ごめん、こんなことになって。俺も正直戸惑ってる。でもあんたがもう嫌だと思うなら、この部屋から出て行ってもらって構わない。あんたが俺の目の届かない場所にいるのはすごく心配だけど」
静かにため息をつきながら言うユリスを、リリィは神妙な面持ちで見つめた。
「……大体の話はわかりました。そんなに大事な話を私なんかに話してくださって、本当にありがとうございます。それで、一つ聞きたいのですが、どうして私だけは大丈夫なんでしょうか?何か心当たりになるようなことは?」
リリィの質問にユリスは真顔のまま窓の外を眺め、静かに話し始めた。
「多分、なんだけど。思い当たることがひとつあって。俺、あんたが二年前に男にフラれてるところをたまたま見かけちゃったんだよね」
「俺が女性嫌いだということは知ってるよね。そうなった理由が、信じてた当時の彼女に裏切られたからなんだ」
静かに淡々とユリスは話し始めた。
「四年前まで真剣に付き合っていた人がいたんだけどさ、俺が仕事から帰ってきたらちょうど他の男とよろしくやってる最中で。あまりにもショックでその場は逃げるように立ち去ってしまったんだけど、後日なんて言われたと思う?」
ユリスは真顔のまま床を見つめてしずかに息を吐く。
「仕事でほったらかしにするあなたが悪い、他の男は優しくしてくれるって。だったら何をしても許されるのか?そんなことする前に寂しいなら言って欲しかったと言ったら、言わなきゃわからないあなたが悪い、言わなくても気づいてくれないなんて、って言われた。話し合いにならないし、何より俺的に無理だと感じて、じゃあ別れようって言ったら別れたくない、もう二度とこんなことしないからって」
ユリスの話を聞きながらリリィはただただユリスを静かに見つめることしかできなかった。
「耳を疑ったよ。話し合う気はなく一方的に悪く言われて、あげくの果てが別れたくないって。相手の男の気持ちも何も考えてない。本当にもう無理だと思った」
そして寮の自分の部屋に戻ると、ユリスは吐き気をもよおし洗面所でうめいた。
仕事に明け暮れながらもユリスはずっと彼女のことを好きでいたしユリスなりに思いやっていたつもりだった。
それが伝わらなかったのなら確かにユリスにも落ち度がある。だが、ユリスに寂しい思いを伝えることもせずあの女は勝手に他の男と付き合っていたのだ。しかもそれを詫びれもせず、ユリスと別れたくないと言い出した。
(気持ち悪い、最低だ、おぞましい、俺が仕事している時にあの女は他の男と付き合ってよろしくやっていた?吐き気がする。もう二度としないだ?ありえない、あんなことをしておいてどの口が言ってるんだ。しかも相手の男の気持ちも何も考えていないじゃないか。だめだ、もうだめだ。女なんて信じられない)
そうして、ユリスは女性という生き物そのものが嫌いになり、近寄るだけで吐き気や頭痛がするほどにまでなってしまう。もちろんすべての女性がそんな最低なことをするわけではないと頭ではわかっている。だが、どうしても拒否反応がでてしまうし、異性に対する欲は全くわかない体になっていた。
「女なんかごめんだ、もうずっと一人で構わないと思っていた。それなのに、あんたに出会ってからあんたと近くで話しても、触れても吐き気も頭痛もしない。不思議に思ってたら、いつの間にかあんたの姿を見たり触れたりすると体が反応するようになってた。……これが俺に起こってることとさっきの状態の理由」
ユリスの話を聞きながら、リリィはどことなく過去の自分を思い出し胸が痛くなる。
(ユリスさんも、大切に思っていた人に裏切られてたんだ……)
「ごめん、こんなことになって。俺も正直戸惑ってる。でもあんたがもう嫌だと思うなら、この部屋から出て行ってもらって構わない。あんたが俺の目の届かない場所にいるのはすごく心配だけど」
静かにため息をつきながら言うユリスを、リリィは神妙な面持ちで見つめた。
「……大体の話はわかりました。そんなに大事な話を私なんかに話してくださって、本当にありがとうございます。それで、一つ聞きたいのですが、どうして私だけは大丈夫なんでしょうか?何か心当たりになるようなことは?」
リリィの質問にユリスは真顔のまま窓の外を眺め、静かに話し始めた。
「多分、なんだけど。思い当たることがひとつあって。俺、あんたが二年前に男にフラれてるところをたまたま見かけちゃったんだよね」