移動初日の歓迎会で記憶を失い朝目が覚めたら女嫌いで有名な先輩が隣で寝ていました
翌朝、ユリスは居間から漂ういい匂いで目が覚めた。居間からは小刻みに何かを叩くような軽快な音が聞こえてくる。
(なんだろうこのいい匂い、すごく食欲がわく)
グーっと鳴ったお腹をさすりながら、ユリスは居間へ向かい、その光景に驚く。そこにはエプロンをして台所で調理をするリリィの姿があった。
「あ、おはようございますユリスさん」
「え、あ、おはよ。何してんの?」
「何って朝食作ってたんですよ。ユリスさんの部屋、食べ物決まったものしかなくて絶対栄養偏ると思うんですよね。なので自分の部屋から移動魔法で食材と料理器具移動して来ました。……えっと、あの、勝手なことしてるのは重々承知です、申し訳ないと思ってます、すみません」
後半になるにつれてどんどん小さくなっていく声に、ユリスはプッと吹き出し声を上げて笑った。
(わぁ、ユリスさんてこんな風に笑うんだ。ちゃんと笑った顔初めて見た)
いつもはほんの少し口の端を上げて笑うか微笑んでもすぐに真顔に戻るため、リリィは珍しいものを見る目でユリスの顔をしげしげと眺める。そんなリリィの様子に、ユリスは笑うのをやめて不思議そうな顔をした。
「何?俺の顔になんかついてる?」
「あ、いえ、ユリスさんがちゃんと笑うの初めて見たなと」
「あぁ、確かに、こんなに笑ったの久々かも」
(は?笑うの久々ってどんな生き方したらそうなるの?)
「で、何作ってるの?」
ワクワクした顔でリリィの背後に周り、リリィの肩に顎を乗せてユリスは尋ねた。その距離の近さに、リリィはまたドキドキしてしまう。
「ちょっと、料理中なんですから危ないです、あっち行っててください」
「え〜、なんかやることない?手伝うよ」
「ないです、あるとすれば出来上がるまで大人しく待っててください」
「ちぇ」
肩を下げながらソファに座るユリスを見て、リリィは不思議な気持ちになった。
(ユリスさんていつも無愛想な方だけど、恋人の前だとこんなにラフな感じになるんだ?ちょっと可愛いかも)
そう思いながらリリィは手際よく料理を進めていき、さて料理ができ上がったと一息つくと、ふとユリスの視線に気づく。その表情はいつものように真顔に戻っていたが、ほんの少し表情が和らいで優しそうな雰囲気を醸し出している。
「どうかしました?」
「いや、なんかこういうのいいなって思って。あんたが彼女役で本当に良かった。まあ、あんた以外に彼女役やってほしいなんて思わないけど」
(そうやってサラリと爆弾発言するんだから!しかもそんないい顔で!)
ユリスの言葉を聞いてリリィは顔を真っ赤にさせながら頭をブンブンとふる。
「な、何言ってるんですか。朝食できたので運んでください!」
「お、やった」
そこにいる二人は、何も知らない人から見れば恋愛ごっこをしてリハビリをしている二人ではなくもはや本当の彼氏と彼女のようだった。
(なんだろうこのいい匂い、すごく食欲がわく)
グーっと鳴ったお腹をさすりながら、ユリスは居間へ向かい、その光景に驚く。そこにはエプロンをして台所で調理をするリリィの姿があった。
「あ、おはようございますユリスさん」
「え、あ、おはよ。何してんの?」
「何って朝食作ってたんですよ。ユリスさんの部屋、食べ物決まったものしかなくて絶対栄養偏ると思うんですよね。なので自分の部屋から移動魔法で食材と料理器具移動して来ました。……えっと、あの、勝手なことしてるのは重々承知です、申し訳ないと思ってます、すみません」
後半になるにつれてどんどん小さくなっていく声に、ユリスはプッと吹き出し声を上げて笑った。
(わぁ、ユリスさんてこんな風に笑うんだ。ちゃんと笑った顔初めて見た)
いつもはほんの少し口の端を上げて笑うか微笑んでもすぐに真顔に戻るため、リリィは珍しいものを見る目でユリスの顔をしげしげと眺める。そんなリリィの様子に、ユリスは笑うのをやめて不思議そうな顔をした。
「何?俺の顔になんかついてる?」
「あ、いえ、ユリスさんがちゃんと笑うの初めて見たなと」
「あぁ、確かに、こんなに笑ったの久々かも」
(は?笑うの久々ってどんな生き方したらそうなるの?)
「で、何作ってるの?」
ワクワクした顔でリリィの背後に周り、リリィの肩に顎を乗せてユリスは尋ねた。その距離の近さに、リリィはまたドキドキしてしまう。
「ちょっと、料理中なんですから危ないです、あっち行っててください」
「え〜、なんかやることない?手伝うよ」
「ないです、あるとすれば出来上がるまで大人しく待っててください」
「ちぇ」
肩を下げながらソファに座るユリスを見て、リリィは不思議な気持ちになった。
(ユリスさんていつも無愛想な方だけど、恋人の前だとこんなにラフな感じになるんだ?ちょっと可愛いかも)
そう思いながらリリィは手際よく料理を進めていき、さて料理ができ上がったと一息つくと、ふとユリスの視線に気づく。その表情はいつものように真顔に戻っていたが、ほんの少し表情が和らいで優しそうな雰囲気を醸し出している。
「どうかしました?」
「いや、なんかこういうのいいなって思って。あんたが彼女役で本当に良かった。まあ、あんた以外に彼女役やってほしいなんて思わないけど」
(そうやってサラリと爆弾発言するんだから!しかもそんないい顔で!)
ユリスの言葉を聞いてリリィは顔を真っ赤にさせながら頭をブンブンとふる。
「な、何言ってるんですか。朝食できたので運んでください!」
「お、やった」
そこにいる二人は、何も知らない人から見れば恋愛ごっこをしてリハビリをしている二人ではなくもはや本当の彼氏と彼女のようだった。