移動初日の歓迎会で記憶を失い朝目が覚めたら女嫌いで有名な先輩が隣で寝ていました

(ユリスさん、その質問はずるい……)

 リリィははっきりしない頭でぼんやりとそう思っていると、ユリスはリリィが返答できなくなっていることに気づいて苦笑する。

「答えがないのは同意とみなすよ」

 そう言ってユリスがまたリリィに口づけをし、そのままリリィの部屋着の中に手を伸ばそうとしたその時。ユリスの端末がけたたましい音を鳴らした。

「っ、誰だよ?」

 ユリスはリリィから離れて端末に触れ、端末の表示を見て顔を顰めた。

「はい」
「ユリス、すまない今大丈夫か」
「えっと、はい、大丈夫です」

 大丈夫ではなかったが、上司であるエデンからの連絡であれば仕方がない。

「実は先ほど第一部門のデータベースに不法アクセスがあったそうだ。どうやら不法アクセスした犯人はリリィの個人データを隅々まで調べていたらしい」

 エデンの話に、ユリスとリリィは目を合わせ眉を顰めた。

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