移動初日の歓迎会で記憶を失い朝目が覚めたら女嫌いで有名な先輩が隣で寝ていました
リリィが目覚めてから二日後。リリィの体力も魔力も回復し、研究課へ無事に復帰したリリィは第一部門の会議室でエデンたちと話をしていた。
「本当にご迷惑をおかけしました」
「リリィは別に謝る必要はない。むしろ我々こそもっと詳しいことを話してリリィからも話を聞くべきだった。本当にすまない。そして、我々を助けてくれてありがとう」
エデンの言葉にリリィは胸の奥が熱くなるのを感じる。他のみんなもリリィの回復を喜びはすれど非難する人間はひとりもいなかった。
(あんなことがあったのにこんな風に言って暖かく迎えてくれるなんて)
その後の調査で、ハイルは言っていた通り魔石の力で命を永らえていたようだった。
赤い雫の破壊魔法は魔石そのものの魔力を消滅させるもので、そのためハイル自身に溜め込まれていた今までの魔石の魔力も消滅し、ハイルはそもそもの姿に戻り結果ミイラ化を経て碎け散ったようだ。
「君のご両親は魔石がハイルの手に渡ることを懸念して赤い雫自体に破壊魔法を施していたようだ。そしてもしもの時のためにリリィに託したんだろう」
『もしもこれが悪い人の手に渡ってしまった時は、あの呪文を唱えて。そうすればこれがあなたを、全てをきっと守ってくれるわ』
リリィの母親が言った言葉は本当だった。リリィとリリィの大切な人たち全てを守ってくれたのだ。
(五歳頃までしか一緒にいた記憶がないけれど、それでもこうして私のことを守ってくれた。ありがとう、お母さん、お父さん)
「さて、リリィ。君の健康診断での魔力の異常探知については赤い雫が原因ということで解決した。リリィ自身の魔力は人並み程度ということも判明した、よってリリィが研究課にいる必要はなくなった」
エデンの言葉を聞いてリリィは思わず拳を握りしめる。胸が痛み、寂しさがじわじわと心を侵食し始めた。
(確かに、私はもうここにいる必要はないのよね……)
チラリ、とユリスを見るとユリスは真顔で床を見つめていた。恋愛ごっこがごっこでなくなったけれど、離ればなれになるとしたらユリスにとって自分はもう必要ないかもしれない。そんなことを考えていると、エデンが話の続きを話始めた。
「総務課もリリィに戻ってきてほしいそうだ。もしリリィが総務課に戻ることを希望するのであればそれを尊重したい。だが……」
そう言ってエデンはリリィの瞳をしっかりと見つめる。
「第一部門としてはリリィにいなくなられると困る。データの集計やまとめ、片付けなどリリィがいることによって部門自体の業務効率が格段に向上した。我々としてはこのままリリィには第一部門に残って一緒に仕事をしてほしい」
エデンの話を聞いてリリィの顔が一気に晴れやかになる。そんなリリィの表情に、エイルもベリアもにっこりと笑い嬉しそうだ。
「私は、できればこれからもここでみなさんと一緒に働きたいです!どうか、よろしくお願いします!」
深々とお辞儀をするリリィを、第一部門の面々は嬉しそうに見つめて歓迎した。
「本当にご迷惑をおかけしました」
「リリィは別に謝る必要はない。むしろ我々こそもっと詳しいことを話してリリィからも話を聞くべきだった。本当にすまない。そして、我々を助けてくれてありがとう」
エデンの言葉にリリィは胸の奥が熱くなるのを感じる。他のみんなもリリィの回復を喜びはすれど非難する人間はひとりもいなかった。
(あんなことがあったのにこんな風に言って暖かく迎えてくれるなんて)
その後の調査で、ハイルは言っていた通り魔石の力で命を永らえていたようだった。
赤い雫の破壊魔法は魔石そのものの魔力を消滅させるもので、そのためハイル自身に溜め込まれていた今までの魔石の魔力も消滅し、ハイルはそもそもの姿に戻り結果ミイラ化を経て碎け散ったようだ。
「君のご両親は魔石がハイルの手に渡ることを懸念して赤い雫自体に破壊魔法を施していたようだ。そしてもしもの時のためにリリィに託したんだろう」
『もしもこれが悪い人の手に渡ってしまった時は、あの呪文を唱えて。そうすればこれがあなたを、全てをきっと守ってくれるわ』
リリィの母親が言った言葉は本当だった。リリィとリリィの大切な人たち全てを守ってくれたのだ。
(五歳頃までしか一緒にいた記憶がないけれど、それでもこうして私のことを守ってくれた。ありがとう、お母さん、お父さん)
「さて、リリィ。君の健康診断での魔力の異常探知については赤い雫が原因ということで解決した。リリィ自身の魔力は人並み程度ということも判明した、よってリリィが研究課にいる必要はなくなった」
エデンの言葉を聞いてリリィは思わず拳を握りしめる。胸が痛み、寂しさがじわじわと心を侵食し始めた。
(確かに、私はもうここにいる必要はないのよね……)
チラリ、とユリスを見るとユリスは真顔で床を見つめていた。恋愛ごっこがごっこでなくなったけれど、離ればなれになるとしたらユリスにとって自分はもう必要ないかもしれない。そんなことを考えていると、エデンが話の続きを話始めた。
「総務課もリリィに戻ってきてほしいそうだ。もしリリィが総務課に戻ることを希望するのであればそれを尊重したい。だが……」
そう言ってエデンはリリィの瞳をしっかりと見つめる。
「第一部門としてはリリィにいなくなられると困る。データの集計やまとめ、片付けなどリリィがいることによって部門自体の業務効率が格段に向上した。我々としてはこのままリリィには第一部門に残って一緒に仕事をしてほしい」
エデンの話を聞いてリリィの顔が一気に晴れやかになる。そんなリリィの表情に、エイルもベリアもにっこりと笑い嬉しそうだ。
「私は、できればこれからもここでみなさんと一緒に働きたいです!どうか、よろしくお願いします!」
深々とお辞儀をするリリィを、第一部門の面々は嬉しそうに見つめて歓迎した。