移動初日の歓迎会で記憶を失い朝目が覚めたら女嫌いで有名な先輩が隣で寝ていました
十六話
「なんで総務課だったお前がここにいるんだ?」
リリィの目の前にいる男は、うんざりしたような顔でリリィへそう言った。
その男は二年前までリリィと付き合っていて婚約していたが、浮気をしたあげくにリリィへ酷い言葉を吐いて婚約破棄した男だ。
(嫌な予感が的中しちゃったな……)
魔法騎士団の応援要請で研究課第一部門からユリスと共に魔物討伐の応援に来ていたリリィは、魔法騎士団の本部にある魔法薬庫で元婚約者である男、リゲルと対峙していた。
研究課からの応援人員の中にリリィの顔を見つけたリゲルは、団員の仲間をつかってリリィへ仕事を任せるフリをして魔法薬庫に呼び出したのだ。
「まさか俺が恋しくて研究課に移転して追いかけてきたわけじゃないよな?勘弁してくれよ」
「……は?何言ってるの、そんなわけないじゃない。私は仕事をしにきたの。邪魔しないで」
リゲルの言葉にリリィは顔を顰めて反論するが、リゲルはニヤニヤとした顔でリリィに近づく。
「照れるなよ、お前は付き合ってる時俺にずいぶん尽くしてくれてたもんな。俺にゾッコンだったんだろ?そういうことなら考えてやらないこともない」
フッと不敵な笑みを浮かべながらリゲルはどんどんリリィに近づいていく。リリィは後退りするがトンッと背中に壁がぶつかった。リリィは横に逃げようとするがそれを遮るように顔の横の壁にリゲルの両手が付く。
「おいおい、逃げるなって。お前がその気なら俺は全然構わないんだぜ」
「あなたあれからすぐに結婚したんじゃなかった?それに私はあなたになんかもう全く興味ないから」
リリィは顔をそむけ、リゲルの顔が間近に迫ってくるのをなんとか必死に回避しようとする。
「別に、出張先でのことなんてバレなきゃ問題ないって。それに俺に興味ないとかバカ言ってんじゃねぇぞ、一度は婚約までした仲だろ。せっかくまた会えたんだ、仲良くしようぜ」
(その婚約を勝手な都合で破棄したのはそっちでしょうが!)
リリィは両手で必死にリゲルの体を押し返そうとするがびくともしない。そんなリリィの両手首をリゲルは掴んでリリィを拘束してしまう。
「離して!大声出すわよ!」
「いや、もう大声だしてんじゃん。でもここは倉庫だ、場所的に離れてるから人も来ないし声も届かねぇよ」
ニヤついた顔を近づけてリリィに口づけようとしたその時。
「リリィ!」
リゲルが鍵をかけていたはずの魔法薬庫の扉が開くと、そこには鬼の形相をしたユリスがいた。
リリィの目の前にいる男は、うんざりしたような顔でリリィへそう言った。
その男は二年前までリリィと付き合っていて婚約していたが、浮気をしたあげくにリリィへ酷い言葉を吐いて婚約破棄した男だ。
(嫌な予感が的中しちゃったな……)
魔法騎士団の応援要請で研究課第一部門からユリスと共に魔物討伐の応援に来ていたリリィは、魔法騎士団の本部にある魔法薬庫で元婚約者である男、リゲルと対峙していた。
研究課からの応援人員の中にリリィの顔を見つけたリゲルは、団員の仲間をつかってリリィへ仕事を任せるフリをして魔法薬庫に呼び出したのだ。
「まさか俺が恋しくて研究課に移転して追いかけてきたわけじゃないよな?勘弁してくれよ」
「……は?何言ってるの、そんなわけないじゃない。私は仕事をしにきたの。邪魔しないで」
リゲルの言葉にリリィは顔を顰めて反論するが、リゲルはニヤニヤとした顔でリリィに近づく。
「照れるなよ、お前は付き合ってる時俺にずいぶん尽くしてくれてたもんな。俺にゾッコンだったんだろ?そういうことなら考えてやらないこともない」
フッと不敵な笑みを浮かべながらリゲルはどんどんリリィに近づいていく。リリィは後退りするがトンッと背中に壁がぶつかった。リリィは横に逃げようとするがそれを遮るように顔の横の壁にリゲルの両手が付く。
「おいおい、逃げるなって。お前がその気なら俺は全然構わないんだぜ」
「あなたあれからすぐに結婚したんじゃなかった?それに私はあなたになんかもう全く興味ないから」
リリィは顔をそむけ、リゲルの顔が間近に迫ってくるのをなんとか必死に回避しようとする。
「別に、出張先でのことなんてバレなきゃ問題ないって。それに俺に興味ないとかバカ言ってんじゃねぇぞ、一度は婚約までした仲だろ。せっかくまた会えたんだ、仲良くしようぜ」
(その婚約を勝手な都合で破棄したのはそっちでしょうが!)
リリィは両手で必死にリゲルの体を押し返そうとするがびくともしない。そんなリリィの両手首をリゲルは掴んでリリィを拘束してしまう。
「離して!大声出すわよ!」
「いや、もう大声だしてんじゃん。でもここは倉庫だ、場所的に離れてるから人も来ないし声も届かねぇよ」
ニヤついた顔を近づけてリリィに口づけようとしたその時。
「リリィ!」
リゲルが鍵をかけていたはずの魔法薬庫の扉が開くと、そこには鬼の形相をしたユリスがいた。