移動初日の歓迎会で記憶を失い朝目が覚めたら女嫌いで有名な先輩が隣で寝ていました

二十二話

 ソファで激しく求めあった後さらに風呂場やベッドでも体を重ね、そのまますやすやと寝息を立てるリリィの顔をユリスは隣でじっと見つめていた。

 気持ちの高ぶりもあり、最中にリリィに無理をさせてしまっているという自覚はあった。だが、どうしても止まらず結果リリィが気を失ってしまうほどに抱き潰してしまった。

(……だめだな、気持ちが抑えられない。リリィのことは大切にしたいのに、気持ちをぶつけてばかりだ。こんな俺のこと、リリィは嫌いになったりしないかな)

 自分がここまで激重な愛の持ち主だとは思いもしなかった。むしろ昔はドライで感情を相手にあらわすことも上手くなく、そのせいでダメになったこともある。

(リリィが相手だとどうしても気持ちを制御できない。こんなんじゃいつか愛想をつかされてしまうんじゃないか)

 リリィは自分のことを不釣り合いだと心配していたが、むしろ俺の方が不釣り合いなんじゃないのか。ユリスはそう思って静かにため息をつく。

「もっと自制しないとな」

 ぽつりと呟いてからユリスはリリィの髪の毛を少し掴んでキスを落とす。そして静かに瞳を閉じた。
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