移動初日の歓迎会で記憶を失い朝目が覚めたら女嫌いで有名な先輩が隣で寝ていました
 ユリスとライムとベラ。小さい頃から仲がよく、顔を合わせればいつも三人で遊んでいた。

 ユリスより五つ年下で、長く赤みがかったブロンド色の髪の毛にルビー色の瞳、誰もが納得するほどの可愛らしい顔立ちだ。
 ベラの家も公爵家でライムより一つ歳上の兄が一人いる。両親にも歳の離れた兄にも溺愛され、小さい頃から蝶よ花よと大事に育てられていたせいか少しわがままがすぎるところがある。だがそれもベラの見た目の可愛さとそれを生かした立ち回りで帳消しになっていた。

「私、大きくなったらライムお兄さまと結婚する!」

 小さい頃は何かあるたびにそう言ってベラはライムのそばを離れなかった。成長してからもそれは続いていたが、ライムがことあるごとにそれをかわし他の女性と恋仲になると、今度はユリスが好きだユリスと結婚すると宣った。

 ユリスはそんなベラが小さい頃から苦手で、学生になると寮がある魔法学校へ入学し、成人するとすぐに魔法省へ勤務するようになる。それ以来ベラとは疎遠になっていた。
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