移動初日の歓迎会で記憶を失い朝目が覚めたら女嫌いで有名な先輩が隣で寝ていました
「あんなに兄貴を好き好き言ってたくせに兄貴がダメだとわかると俺にくるような女だよ。無理に決まってる。それに俺にはリリィがいるんだ、ベラもさすがに諦めるでしょ」
「だがあのベラだそ。俺に彼女がいたときも婚約が決まった時も何かにつけて俺に近づいてきゃんきゃん喚いていたからな。しかも今は自分の年齢を気にして本気で結婚相手を探しているそうだ。お前も気をつけた方がいい」

 ライムの話にユリスは心底嫌そうな顔をして身震いするが、ふとリリィの顔を見て目を見張った。

(あ、どうしよう、すごく不安そうな顔になっちゃってたのかな)

 リリィは精一杯の笑顔をつくりユリスに向けると、ユリスは机の下でそっとリリィの手を握る。

「大丈夫、ベラに何言われても俺はリリィしか見てないしリリィとしか一緒にいたくないから。リリィのことは俺が守るから心配しないで」

 ユリスの言葉を聞いてリリィは安心する気持ちが湧き上がってくる。

(すごいな、ユリスさんはいつも私がほしい言葉をくれてあっという間に安心させてくれる)

 リリィはいつの間にかつくり笑顔ではない本当に嬉しそうな笑顔になっていた。そして、ライムはユリスとリリィのやり取りを見ながら優しい眼差しを向けていた。


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