移動初日の歓迎会で記憶を失い朝目が覚めたら女嫌いで有名な先輩が隣で寝ていました
 リリィの手をしっかりと握り締めながらきっぱりと言い切るユリス。そんなユリスの言葉を聞いてリリィはユリスの手を握り返しユリスを見て微笑んだ。

 はぁ、と両手で顔を覆うベラからため息がもれる。そして顔をあげるとその顔には涙一粒も見当たらず泣いた跡さえ見えなかった。

「わかりました、そこまで言われてしまえば私としてももう諦めるしかありませんね」

 ベラの言葉にユリスとリリィは笑顔になって見つめ合う。

「ですが、このままはいそうですかと引き下がるのも癪です。それにユリスお兄さまとはずっとずっと長い付き合いですのよ。ですのでせめて最後に二人きりでお話がしたいですわ」

 ベラの言葉にユリスは一気に顔を顰める。

「ほんの少しの時間でいいの。私にお兄さまとの時間をくださらない?それくらい良いわよね?私、あなたにお兄さまをお譲りするんだから。それに二人きりの時間をくれたら今後はもう二度とお兄さまに近づかないって約束するわ」

 有無を言わせない圧力でベラはリリィへそう告げた。
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