移動初日の歓迎会で記憶を失い朝目が覚めたら女嫌いで有名な先輩が隣で寝ていました
どのくらい時間が経っただろうか。リリィの仕事はもう一息で終わりそうだ。だがどうしてもわからない点が一箇所あって、そこから先に進めない。
(ユリスさんに聞くしかないか。今聞いても大丈夫かな?)
ちらっと横目でユリスを見ると、リリィの視線に気づいたユリスと目が合う。
「どうかした?」
「あ、あの、今大丈夫ですか?」
「うん、こっちはもう終わったからいいよ。何か質問?」
ユリスは相変わらず真顔だが優しく聞き返してくれた。
(こんなに優しいのに、本当に女嫌いで他の女性とは話をしないのかな?)
不思議になりつつもリリィはそのままユリスに話しかける。
「あの、一箇所わからない所がありまして……」
「うん?どこ?」
「えっと、ここの……」
説明しようとして、自分の背後が暗くなったことに気がついた。ふと顔を上げると、自分の顔のすぐ横にユリスの顔がある。どうやらユリスはリリィの背後にいて、ユリスの片手はデスクに置かれ少しリリィに覆いかぶさるような状態になっている。
(こ、この状況は一体!?)
パニックになりながらもリリィは必死にわからないところをユリスに説明した。その間も、ユリスは変わらず真顔でふむふむと頷き、手元の書類と目の前のウィンドウを見て考えている。
(ちちちち近い!近すぎ!)
「あぁ、これは上級魔法だからこっちのカテゴリーなんだよね……」
そう言ってユリスはリリィに少し覆いかぶさる状態でそのままウィンドウを操作する。ユリスの顔がすぐ真横にあり、ウィンドウを操作する手がたまにリリィの体に触れたりするたびにリリィの心臓は跳ね上がるようだ。
「よし、これで終わり。俺の方ももう終わったから一緒に帰ろうか」
そう言ってユリスはリリィから離れた。背後が急に涼しくなるがリリィの体はまだ熱い。なんなら冷や汗も出ていて汗臭くないだろうか?なんて思ってしまうくらいだ。
「あ、あの……」
「ん?まだ何か聞きたいことある?」
真顔でこちらを向くユリスに、リリィは意を決して口を開いた。
「ユ、ユリスさんは女嫌いなんですよね?女性に触れることは愚か、近づくことも必要以上に話すこともないってお聞きしました。で、でも、それならなんでこんなに近いんですか?」
リリィの問いかけに、ユリスは変わらず真顔のままで首を傾げる。
「あぁ、うん、なんでだろうね」
ユリスの返答にリリィは拍子抜けする。だが、ユリスは静かにリリィを見つめたまま話を続けた。
「俺、女に近づいたり触れたりするとものすごい頭痛と吐き気がするんだ。だからいつも最低限の関わりしか持たないようにしてる。でも、なんでかあんたには近寄っても触れても何も起こらない」
そう言ってユリスはリリィの手をとって握る。
「なんでだろうね?」
そう言って静かに、ほんの少しだけフッと笑った。それを見たリリィは全身の血が一気に駆け巡るのを感じる。
(うわぁぁ、これは、や、やばい。この人自分がすごいイケメンて自覚してるのかな?してなかったらすごい罪深い……)
真っ赤になっているリリィを見てユリスはまた少しだけ微笑むと、すぐ真顔に戻って帰り支度を始めた。
「仕事も無事に終わったし、帰ろっか」
(ユリスさんに聞くしかないか。今聞いても大丈夫かな?)
ちらっと横目でユリスを見ると、リリィの視線に気づいたユリスと目が合う。
「どうかした?」
「あ、あの、今大丈夫ですか?」
「うん、こっちはもう終わったからいいよ。何か質問?」
ユリスは相変わらず真顔だが優しく聞き返してくれた。
(こんなに優しいのに、本当に女嫌いで他の女性とは話をしないのかな?)
不思議になりつつもリリィはそのままユリスに話しかける。
「あの、一箇所わからない所がありまして……」
「うん?どこ?」
「えっと、ここの……」
説明しようとして、自分の背後が暗くなったことに気がついた。ふと顔を上げると、自分の顔のすぐ横にユリスの顔がある。どうやらユリスはリリィの背後にいて、ユリスの片手はデスクに置かれ少しリリィに覆いかぶさるような状態になっている。
(こ、この状況は一体!?)
パニックになりながらもリリィは必死にわからないところをユリスに説明した。その間も、ユリスは変わらず真顔でふむふむと頷き、手元の書類と目の前のウィンドウを見て考えている。
(ちちちち近い!近すぎ!)
「あぁ、これは上級魔法だからこっちのカテゴリーなんだよね……」
そう言ってユリスはリリィに少し覆いかぶさる状態でそのままウィンドウを操作する。ユリスの顔がすぐ真横にあり、ウィンドウを操作する手がたまにリリィの体に触れたりするたびにリリィの心臓は跳ね上がるようだ。
「よし、これで終わり。俺の方ももう終わったから一緒に帰ろうか」
そう言ってユリスはリリィから離れた。背後が急に涼しくなるがリリィの体はまだ熱い。なんなら冷や汗も出ていて汗臭くないだろうか?なんて思ってしまうくらいだ。
「あ、あの……」
「ん?まだ何か聞きたいことある?」
真顔でこちらを向くユリスに、リリィは意を決して口を開いた。
「ユ、ユリスさんは女嫌いなんですよね?女性に触れることは愚か、近づくことも必要以上に話すこともないってお聞きしました。で、でも、それならなんでこんなに近いんですか?」
リリィの問いかけに、ユリスは変わらず真顔のままで首を傾げる。
「あぁ、うん、なんでだろうね」
ユリスの返答にリリィは拍子抜けする。だが、ユリスは静かにリリィを見つめたまま話を続けた。
「俺、女に近づいたり触れたりするとものすごい頭痛と吐き気がするんだ。だからいつも最低限の関わりしか持たないようにしてる。でも、なんでかあんたには近寄っても触れても何も起こらない」
そう言ってユリスはリリィの手をとって握る。
「なんでだろうね?」
そう言って静かに、ほんの少しだけフッと笑った。それを見たリリィは全身の血が一気に駆け巡るのを感じる。
(うわぁぁ、これは、や、やばい。この人自分がすごいイケメンて自覚してるのかな?してなかったらすごい罪深い……)
真っ赤になっているリリィを見てユリスはまた少しだけ微笑むと、すぐ真顔に戻って帰り支度を始めた。
「仕事も無事に終わったし、帰ろっか」