移動初日の歓迎会で記憶を失い朝目が覚めたら女嫌いで有名な先輩が隣で寝ていました
「リリィ……」

 胸元を掴みながら苦しげにユリスはつぶやく。

そんな中、部屋の中央の床が青く煌々と輝き魔法陣から人が浮かび上がる。


「ユリス!」
「エデン部門長、みんな……」
「大丈夫か、これを早く!即効性のある解毒剤だ」

 エイルに手渡された解毒薬をユリスは一気に飲み干すと、ユリスの体全体が薄紫色に輝きユリスはホッと息を吐く。即効性があると言うだけあってすぐに体が楽になった。

「それで、状況は」
「実は……」

 起きた出来事をエデンたちに報告し終わったまさにその時、部屋の外から叫び声が聞こえる。ベラの声だ。

 ユリスたちは目を合わせてすぐに部屋から出て声のする方へ向かう。わめき声のする部屋にたどり着くと、そこには錯乱したベラの姿があった。

第一部門の面々は顔を顰めて加害者であり被害者でもあるベラを静かに見つめる。

 
「ベリア、彼女を落ち着かせてくれ。俺たちは現場の保存と検証、事情聴取をする。ユリスは一刻も早くリリィを」

 エデンの号令にその場の一同が頷き、それぞれ動き出した。
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