移動初日の歓迎会で記憶を失い朝目が覚めたら女嫌いで有名な先輩が隣で寝ていました

三十話

「執着?ちがうよ、これは愛だよ」

 純粋そのものというような瞳で真っすぐにリリィを見つめるレイン。そのあまりにもきらきらとした眼差しにむしろ恐ろしさすら感じてしまう。

「愛……?愛だなんて、そんな……」

 絶句するリリィをレインは不思議そうな顔で眺める。

「どうしてリリィちゃんには伝わらないのかな?こんなにも君のこと愛しているのに。出会って一緒に過ごしたあのころから、僕の気持ちはひとつも変わっていないんだよ」


◇◆◇

 レインがリリィのいる施設にやってきたのはレインが十二歳のころだ。幼いころからレインの顔立ちは美しく、まるで女の子のように可憐だった。

「なんだよお前、女みたいな顔して!」
「身ぎれいな恰好しやがって、いけすかない奴だな!」
「さてはお前、男のふりした女だな?おい、脱げよ!ちゃんと男かどうか確認してやる!」
「やだよ!やめてよ!」

 その可憐な見た目のせいで施設の悪ガキたちから執拗な嫌がらせを受けていた、その時。

「あんたたち!何してるのよ!」

 レインの前に悠然と立ちはだかるリリィ。
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