移動初日の歓迎会で記憶を失い朝目が覚めたら女嫌いで有名な先輩が隣で寝ていました

「ユリスは無事に到着したようだな。リリィも無事でよかった」

 リリィにかけられた魔法を視てエデンが言う。

「ユリスさんが!レイン君とどこかに行ってしまったんです。きっと二人きりで戦っています。レイン君のあの自信満々な様子、きっと何かが……ユリスさんを助けてください、お願いします!」
「大丈夫、俺たちはそのためにきた」

 リリィの目の前にしゃがみ、目線を合わせてロザリオは優しく微笑んだ。その微笑みを見てリリィは心がふんわりと暖かくなり落ち着く。だが、すぐにレインが言っていたことを思い出してエデンたちを見る。

「それから、この周辺に魔石をとり混んだ魔物が数体いるとレイン君が言っていました」
「魔石を取り込んだ魔物?レインは魔石を持っていたのか?」
「詳しいことは何も分からないんです」

 リリィが申し訳なさそうに首を振ると、エデンは顎に手を添えて考え込む。

「奴がハイルの研究とは別に魔石を所持していたとなると、ユリスも危ないな……早急に魔物の討伐とユリスたちの捜索だ!」

 エデンが指示を出すと、リリィのそばに座っていたベリアがリリィの手を握って言った。

「大丈夫、心配しないで。私たちが絶対にユリスさんを見つけ出すから。全員で一緒に帰ろう」

 その言葉に、その場にいた研究課の人間全員がリリィを見てしっかりと頷いた。
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