移動初日の歓迎会で記憶を失い朝目が覚めたら女嫌いで有名な先輩が隣で寝ていました

三十三話

 ユリスとレインが戦っている場所では、轟音と共にいくつもの光線や炎、氷などが次々に現れては消えを繰り返していた。
 お互いに魔法を打ち合い、相殺する。それを何度も何度も繰り返しているがどちらも無傷で戦況は一向に変わらない。

(魔石を取り込んでいるレインの魔力は俺とほぼ互角。これじゃただ魔力の消耗をし合うだけで持久戦だ。どちらが先に魔力切れを起こしてもおかしくはない、だけどその前に決着をつけたい)

 魔力を打ち込みながらユリスは考えている。だが、そんなユリスの様子をレインはつまらなそうに見ながら言った。

「考え事なんて余裕だね。そんな暇を与えている僕が悪いのかな」

 レインがそういうとユリスの周りに氷の刃が現れユリスへ次々に襲い掛かる。そのスピードはあまりにも速く、ユリスは防御に徹するしかないかと思われたが、ほんの一瞬の隙を見てユリスもレインへ攻撃を仕掛ける。
 
 二人の攻防戦によって周囲の地面はえぐられ、囲んでいたはずの岩壁は一部を残してほとんどが無くなっていた。そんな地面に突如魔法陣が現れ、魔法陣から次々と研究課の面々が姿を見せる。

「ユリスさん!レイン君!」
「リリィ!どうしてここに!」
「すまない、どうしても一緒に来ると言い張るもので」
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