イジワルな君の甘い溺愛
お化け屋敷を出てしばらく休んだ後、電車に乗って帰ってきて。
外は薄暗くなってはいるけど、お母さんが心配する時間より前には家に着いた。
「今日はありがとう。可愛い動物にも触れたし、お腹いっぱい美味しい物も食べれて、すごく楽しかった。でもお化け屋敷はもういいかな……」
「ふっ。また連れてってやるよ」
それはまた遊びに行くことか、お化け屋敷にってことかよくわからなかったけど、私は小さく笑った。
「ほんとにありがとう。じゃあ」
「あのさ」
向きを変えて家に入ろうとしたところで、腕を掴まれた。
「…まえ、呼べよ」
掴む手に、微かに力が入った気がした。