イジワルな君の甘い溺愛


「………や、よいく……んっ!」


栗山くんの唇が、私の唇に重なる。
逃がさないとでも言うように、私の頬に優しく触れて、腰に腕を回してそのまま引き寄せられた。


体の距離が縮まって、口付けももっと深くなる。


「ん……」


少し角度を変えて深く深く落とされるキスに、私は苦しさが限界に達しそう。
も、無理…


ほんとに限界に近づいたところで、栗山くんが軽く息を吐きながら、唇を離した。


「はっ…いい顔…」


目の前がぐるぐるする…
ただでさえ暑いのに今のでもっと体温が上がって、倒れそう。


「もう、我慢しねぇから」


栗山くんが小さく何かを言ったけど、私はそれを聞き返してる余裕もなかった。


「今日から名前で呼べよ」


「……え…」


やっと落ち着いてきた呼吸を整えながら、私は顔を上げた。


「もし苗字で呼んだら」


「よ、呼んだら…?」


「その場でキスしてやる」


「なっ!?」


「じゃあな」


にやっと笑って歩き出す栗山くん。
私はキスされた唇に、そっと指先で触れた。
まだ、熱が残ってるみたい…


あんなキス知らないから、びっくりした…
びっくりしたけど…


嫌、じゃなかった…


自分でもわからない感情が胸のなかで渦を巻いていて、私はしばらく動けなかった。





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