イジワルな君の甘い溺愛
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歩き続けること、十数分ーーーー。
私はぽかんと口を開けて、栗山くんの家とやらの前で立ち尽くしていた。
「あ、あの、ここって…」
「俺の家だけど」
俺の家って……私の家と超ご近所さんなんですけど!?
それも、私の家から5軒お隣さん。
今日図書館に行く時に通ったら引越し業者のトラックが止まってたから、新しい人が入ったんだなー、くらいに思っていたら…
まさかまさかの、栗山くんだったとは。
「ああ、そうだ。おい、スマホ出せ」
「えっ!?きょ、今日は持って来てない」
「なに嘘ついてんだ。さっき時間確認してただろ」
うっ…さすがにばれてる。
「おい早くしろ」
渋々スマホを取り出して画面を開くと、栗山くんは私の手からスマホを取り上げて、何かを打ち込んでいる。
「俺の連絡先登録したから」
「え!?そんな勝手に」
「これでいつでも連絡できるし。俺からの連絡無視すんなよ。じゃあな」
「え、あのっ」
「お見送りどーも。これからよろしくな、ご近所さん」
にやりと笑って、栗山くんは家に入っていった。
「……えぇ…そんな…」
なんか、一気に疲労感に襲われた。