イジワルな君の甘い溺愛
「あれ、何かあったの?」
「あ、ううん!何にもないよ」
トイレから戻ってきた夢ちゃんに尋ねられて、私は慌てて首を振った。
「にしても、すごい人気」
頬杖をついて栗山くんとその周りの女子たちを見ながら夢ちゃんは言った。
それにつられて、私も盗み見るようにしたけど、栗山くんはさっきからスマホばかりいじっていて間宮さんには全く反応しない。
あんな調子じゃ、多分チャイム鳴るまで座れなそう…
「でも、栗山って花と小学校もクラスも一緒だったんでしょ?仲、良いんじゃないの?」
夢ちゃんにはさっき小学校が同じことを話した。
「いや…」
どちらかと言えば、仲はよくない。
毎日のように、栗山くんから嫌がらせ受けてたし。
「なんか時を経ての再会…って、恋の予感しかしなくない?……ああ、でも花には先輩がいるのか」
先輩…、そう言われて私は恥ずかしくなった。
顔に熱が集中していく。
「先輩は、その…憧れの人、というか…」