イジワルな君の甘い溺愛
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『木嶋 花です。よろしくね』
栗山くんと初めて話したのは、新しいクラスになって、自己紹介をした時だ。
前後左右、隣同士、まずは席の近い人で挨拶しましょう、という先生の提案での自己紹介。
席は名簿順だったから、苗字が近かったため、私と栗山くんは前後の席だった。
栗山くんと同じクラスになるのはこれが初めてだったし、今まで全く関わりがなかったから少し緊張したのを覚えている。
早く仲良くなりたかったし、私は愛想よく笑って挨拶したはずだった。
のだけど…
『……よろしく』
にこりともせず、何を考えているのか全く読み取れない真顔で、栗山くんはそう一言返しただけ。
元々口数が少ないのか、近くの人と一言二言だけ交わして、それ以外は話している様子がない。
『木嶋、隣同士よろしくな!これでもうクラス替えないし、俺たち6年間同じじゃん!卒業までよろしく!』
隣の席になったのは6年間同じクラスの男子だ。
しばらく2人で盛り上がって会話をしていると、後ろからじっと視線を感じた。
振り返れば、私たちのやりとりを黙って見つめている栗山くん。