イジワルな君の甘い溺愛


プリントを回す時なるべく栗山くんを見ないようにすれば、『さっきもあいつと話していただろ』と髪を引っ張られ。


『お前、本ばっか読んでるからメガネザルになるんだよ』と変なあだ名をつけられ。


時間が経つに連れて『話すな』と栗山くんに言われた男子が増えていく。


『俺に逆らうからだ』と本を隠されたことも何度もあった。


そんなことがしばらく続いて、5年生の秋が近づいた頃、私たち家族の生活が一変した。


お父さんが仕事場で倒れて、緊急で入院することになったのだ。


入院してからは毎週お父さんのお見舞いに行くようになって、会うたびにお父さんの体が細くなっているのを感じた。


心配する私に『大丈夫!』と、お父さんは毎回明るく笑っていた。





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