イジワルな君の甘い溺愛
なんか私だけが意識しすぎているのか、栗山くんはあれからけろっとして、何事もなかったように過ごしている。
「花、おはよー!もう最近朝から暑すぎて学校来るだけで汗やばい!もうメイクもよれるし、最悪」
教科書を整理していると下じきをうちわがわりに仰ぎながら、夢ちゃんが来た。
もうすぐ6月も終わる。
本格的な夏到来だ。
「あ、おはよう夢ちゃん。最近急に暑くなったもんね。でもメイク全然綺麗だよ?」
「そう?もうギットギト。ていうか花はメイクとかしないの?」
「やり方わかんないし…」
夢ちゃんはお化粧がすごく上手だ。
学校にも大きめの化粧ポーチを持って来ているけど、家にはもっと沢山あるらしい。
私は化粧品なんてひとつも持ってないし、したこともない。
せめて日焼け止めを塗るくらい。