イジワルな君の甘い溺愛


浮かれた気分で教室に戻ると、栗山くんにぎろっと睨まれた。


「な、何?」


「別に…にやにやして気持ち悪ぃなって思っただけ」


そう嫌味を言われたけど、気にしないようにして私は席に座った。

✳︎✴︎

「花、本当になんかあったら電話してよ?」


帰りのホームルームが終わって帰る準備をしていると、夢ちゃんにそう言われた。
すごく心配してくれているらしい。


「うん、ありがとう。じゃあ、夢ちゃんも気をつけてね」


晴翔の迎えもあるし、もたもたしていられない。
急いで昇降口に向かった。


昇降口で靴を履き替えていると、「おい」と声がした。
教室にはもういなかったし、もう帰ったと思っていた栗山くんが待っていた。


「帰るぞ」


そう一言。
帰るぞ、って、だから私はこれから晴翔の迎えに行かなきゃ行けないんだって。




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