イジワルな君の甘い溺愛


「ね、やよいも食べていくでしょ?」


「晴翔、ワガママばっか言わないでよ。栗山くんだって家の人心配するだろうし、そろそろ…」


「えー、嫌だぁ!やよいと一緒がいい!」


今日はいつもに増してワガママの諦めが悪い。
すっかり栗山くんに懐いちゃったし、半泣き状態の晴翔に私は小さくため息をついた。


「別に、食ってってもいいけど」


私たちの様子を見ていた栗山くんが言う。


「ほんと!?やった!」


さっきまでの涙はどこに行ったんだってくらい、晴翔は一瞬で泣き止んだ。
どうせ最初から泣いたふりをしていたに違いない。


「で、でも栗山くんちだってお母さん心配するんじゃないの?」


「…別に父親は出張で基本的にいないし、母親は今日夜勤だし」


そう言えばこの前家にきた時に栗山くんのお母さんは病院で働いてるって言ってたっけ…。





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