イジワルな君の甘い溺愛
昼間はあんなに暑かったのに、夜は涼しい風が吹いている。
「ここでいい」
門扉の外に出たらところで栗山くんが言った。
街灯の灯りだけが暗い辺りを照らしている。
「…今日は、ありがとう。晴翔のワガママに付き合わせちゃってごめんね」
「あいつ、すっげー生意気なやつだな」
「……うん、ごめんね。…でも、晴翔すっごく楽しそうだった。お父さんがいない分、できるだけ寂しい思いさせないようにって思うけど、私ゲームも弱いし、晴翔がサッカーとか野球とかやりたがっても、私じゃできる限度あるし…」
栗山くんは黙って聞いてくれている。
晴翔はお父さんの記憶なんてないし、抱っこだってしてもらったことがない。
晴翔だって毎日楽しそうにはしてるけど、やっぱりどこかで寂しい思いはしてるんじゃないかって思う。
「私も、もっとゲーム上手にならなきゃね……栗山くん、本当にありがとう」
「……別に」
いつもみたいに、そっけない返事。