イジワルな君の甘い溺愛


あまりにも急なことに目を見開いて固まる私を覗きこんで、栗山くんは「おもしれー顔」と、笑った。


「い、いきなり何するの!前にも言ったけど、キ、キスとかそういうのやめてよ!」


恥ずかしさのせいか、怒りのせいか自分でもわからないくらい顔が赤くなっているのを感じる。


「飯、美味かった」


「……え」


不意にそんなことを言うから、少しだけ心臓がドキッとした。
いつも意地悪なことしか言わないくせに、どうして時折り優しい言葉を投げかけるんだろう。
優しいこと言えるなら、いつもそうしてくれればいいのに。


でも栗山くんはそんな期待に答えることなく、「じゃあな、メガネザル」といつも通りの彼で、帰っていった。





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