イジワルな君の甘い溺愛
栗山くんと出かけるってことを伝えたら、やたら「デート!」ってお母さんは騒いでる。
『9時に駅の入り口に集合』って連絡が来ただけで、目的地はどこで、今日は何をしに行くかなんて全く知らない。
『どこに行くの?』って返信したけど、『遅刻したらペナルティ』って返ってきただけ。
ペナルティだって何されるかわからないし、遅刻するわけにはいかない。
玄関で靴を履いていると、まだ半分寝ぼけたような目を擦りながら、晴翔がリビングから顔を覗かせた。
「お姉ちゃん、お出かけ?」
「あ、うん。ほら、お母さん呼んでるから、早く朝ごはん食べちゃいなよ」
「…うん。バイバイ」
ひらひらと手を振って、そのまま戻って行った。