黒眼帯の氷結辺境伯は冷遇された令嬢を一生涯かけて愛したい
「大丈夫か?ソフィア」

 エルガンとルシルが青ざめながら帰った後、ルードはまだ少し震えの止まらないソフィアを気遣っていた。

「は、はい。すみません、義父と義姉が大変失礼なことを……」
「そんなことはいいんだ。君が無事でいてくれるなら」

 大切なものを見るようにソフィアを見つめるルードに、ソフィアは思わず顔が赤くなる。

(そんな目で見られてしまっては勘違いしてしまう。さっきのこともあったし……でも勘違いしてはいけないわ。ルード様はあくまでも情けをかけて言ってくださったのだから)

 浮つく気持ちを沈めるように、ソフィアは静かに深呼吸をする。そんなソフィアの両肩にルードはそっと両手を添えた。

「君の気持ちを確認する前にあんなことを言ってしまって済まなかった。本来であればまず君に伝えるべきことなのに」

 ルードの言葉に、ソフィアは静かに首を横に振った。

「いいんです、ルード様の言葉は本当に嬉しかったです。例え私を義父たちから守るために一時的な言葉だったとしても」
「一時的?そんなことはないよ」

 ソフィアの言葉を聞いてルードが困惑したように言う。そんなルードをソフィアは首を傾げながら見つめた。

(一時的ではないって、どういうこと……?)
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