黒眼帯の氷結辺境伯は冷遇された令嬢を一生涯かけて愛したい

初夜と幸せな未来

「義父上たちに言った言葉は一時的なものでもなんでもない。俺の本心だ」

 ルードはソフィアの両手をぎゅっと握りしめて言う。そんなルードをソフィアは不思議そうに見つめる。

(ルード様のさっきの言葉が本心?まさか、ルード様は私なんかと本当に一緒になりたいと……?)

 ルードの言葉を思い出し、ソフィアは途端に赤面する。そんなソフィアをルードは嬉しそうに見て微笑んだ。

「俺は本心から君を愛し、一緒になりたいと思っている。一生涯かけて君を守りたいし、愛したい。こんな気持ちになるのはたった一人君だけなんだ」
「ま、待ってください」

 ルードの話を遮るように言うソフィアの様子に、ルードは困惑する。

「わ、私のような人間はルード様のような素敵な方のそばにいる人間ではありません。それにルード様はもう両目で世界をご覧になれます。これからももっともっと広い世界を見て、いろいろな方と出会うでしょう。私なんかよりも遥かに美しく気品がある素敵なご令嬢にだって……そんな時、私がそばにいては迷惑になってしまいます。そうなる前に、どうか今一度冷静になって考え直してください」

 慌てたように言うソフィアを、ルードは悲しげな表情で見つめていた。
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