黒眼帯の氷結辺境伯は冷遇された令嬢を一生涯かけて愛したい
「俺はいたって冷静だ。確かに俺はこれからもっともっと広い世界を見てさまざまな人間に出会うだろう。だが、そうだとしても君以上に素敵な令嬢に出会うとは思えない。俺は君が思う以上に君の素敵なところをたくさん知っている。君が自分を卑下してしまうような悪いところも、ね。でもそんな君の全てを俺は愛している。もしこれからどんな素敵な令嬢に出会おうとも、この気持ちが変わることはない。それとも、君は俺がそんなに簡単に心変わりするような男だとでも思っているのか?」

 悲しそうにそう言われてしまえばソフィアは何も反論できない。

「俺がこれから見る世界を、ソフィアにも一緒に見てほしい。これからの人生を共に歩んでほしいんだ。ソフィア、どうか俺と結婚してください」

 ソフィアの両手を握り、じっとソフィアの目を見つめながらルードは言う。そんなソフィアを見つめるルードの瞳は本当に甘く蕩けるような、そして熱さを秘めた愛おしさを含んでいるのだ。

「……本当に、本当に私なんかでいいのですか?」
「君がいいんだ。君じゃなきゃだめだ」

 ルードの返答に、ソフィアは息を呑む。そして涙を両目一杯に浮かべながら、静かに頷いた。

「わ、私も、ルード様のそばにいたいです。ずっとずっと、これからの人生全てでルード様と一緒に、色々な世界を見たいです」

 ソフィアの言葉を聞いた瞬間、ルードはソフィアを抱きしめた。ルードの中でソフィアは泣きじゃくる。

「絶対幸せにするよ、ソフィア」

 ルードは希望に満ちた瞳で前を向き、ソフィアをしっかりと抱きしめていた。

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