黒眼帯の氷結辺境伯は冷遇された令嬢を一生涯かけて愛したい
 その後ルードとソフィアの結婚話はあっという間に進み、屋敷内はおろか領地内の全ての人々に祝福された。氷結辺境伯の氷の瞳の力を消し、氷結辺境伯の心まで溶かした女性だと領地内はお祭り騒ぎだったそうだ。

 そうして皆に祝福された結婚式は無事に終わり、二人の初夜を迎えたのである。

(ど、ど、ど、どうしましょう、胸の高鳴りが治らない)

 先に湯浴みを済ませたソフィアは、湯浴み中のルードを一人待ちながらソワソワしていた。

(こんなに上質なネグリジェを着るのは初めてだし下着も紐で結ぶだけだなんて、どこもかしこも涼しくてなんだか頼りないわ)

 不安と期待で胸いっぱいなソフィアは寝室の中を歩き回るが、気持ちはいっこうに落ち着きそうにない。そんなソフィアをよそに、寝室の扉が軽快にノックされる。

「ソフィア、俺だ。入るよ」
「は、はい」

 ガチャ、と扉を開けて入ってきたルードを見て、ソフィアは思わずぼうっとしてしまう。サラサラの銀髪の髪、シルクのような上質な寝巻きに通された体は前が少しはだけて鍛えられた胸元がチラリと見えている。

(す、すごい色気……!)

 ソフィアがルードの姿を見てうっとりしている間、ルードもまたソフィアの姿を見て胸を高鳴らせていた。

(ああ、なんて魅惑的な姿なんだ。ネグリジェから見える素肌は真っ白で滑らかでとても柔らかそうだし、ソフィアは着痩せするタイプなのか?気づかなかったが意外と胸もあるんだな)

 少し顔を赤らめながらじっとソフィアを見つめるルードの姿に気づき、ソフィアは思わず体を隠して顔を真っ赤にする。そんな姿が余計にルードの心を掻き乱してしまうとは知らずにだ。

 コホン、と一つ咳払いをしてルードはソフィアの目の前に立ち、優しく髪の毛を撫でた。

< 17 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop