黒眼帯の氷結辺境伯は冷遇された令嬢を一生涯かけて愛したい
(瞼の裏が明るい……朝になったのかしら)

 静かにゆっくりと目を開けると、カーテンの隙間から日差しが見える。

 ふと横を見ると、こちらを見て微笑んでいるルードがいた。

「おはよう、ソフィア」
「ル、ルード様!おはようございます」

(び、びっくりした!ルード様はいつから起きていらしたのだろう)

 ソフィアはドキマギしながらルードの顔を眺めると、昨晩のことが急に思い出されて途端に顔が赤くなる。そんなソフィアの様子をルードは嬉しそうに見つめ、声をかけた。

「喉が渇いていないか?」
「あ、はい、少し」
「今水をあげるよ」

 そう言ってルードは体を起こし、ベッドサイドに置いてあった水差しから水をコップに移した。そのコップをソフィアに渡すのかと思えば渡すことはせずになぜか自分の口に含む。
 
 不思議そうにそれを眺めているソフィアの後頭部に手を当て、ルードはそのままソフィアへ口付けた。
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