先輩が私にフキゲンな理由《10月〜大幅修正開始予定》
「もう卒業近いのに、マジでどうしよ。告白は無理かもしれないけどさ、せめて仲直りしてから学校去りたいんだけどな…」
立場上を良くする愛想のいい郁人でも、人を嫌って冷たくする郁人でもない、第3の郁人を斉藤のことを話す時時々見る顔。
切なくて、悲しそうで、悔しそうで、けど泣けなくて。
そんな色んな気持ちが入り混じった郁人の顔を、こうやって俺はたまに見かける。
「…っ」
自分のことじゃないのに自分のことかのように思うと、胸が痛めつけられるほど苦しくなる。
似たような気持ちを自分も知っているから。
「……なんて悩んでたって仕方ないよね」
傷ついている悲しみを誤魔化すように、愛想よく振る舞って、何事もなかったかのように笑う郁人。
親友なのに、自分が“また”無力なことを思い知らされ、虚しく感じた。
「話、変えるけどさ、…桐生って本当は春乃さんのこと好きなんでしょ?」
「!」
「何で断るのかな〜と思って。しかも嫌いって言うほど。せっかく両想いなのに」
「……それは、」
「……やっぱり、“あれ”?…“あおくん”」
「!……」
「春乃さんも、桐生が思うほどのこと思ってないよ。きっと。確かに変わっちゃったけどさ」
「……」
「そろそろ卒業なんだよ。正直に話してちゃんと言いなよ。
…俺みたいに後戻り出来ないようなこと、なってほしくない」
八の字をした郁人は、まるで俺を後押しするように、忠告するように、俺に告げた。
「……」
その時、ふと1年前のことが蘇ってきた。
立場上を良くする愛想のいい郁人でも、人を嫌って冷たくする郁人でもない、第3の郁人を斉藤のことを話す時時々見る顔。
切なくて、悲しそうで、悔しそうで、けど泣けなくて。
そんな色んな気持ちが入り混じった郁人の顔を、こうやって俺はたまに見かける。
「…っ」
自分のことじゃないのに自分のことかのように思うと、胸が痛めつけられるほど苦しくなる。
似たような気持ちを自分も知っているから。
「……なんて悩んでたって仕方ないよね」
傷ついている悲しみを誤魔化すように、愛想よく振る舞って、何事もなかったかのように笑う郁人。
親友なのに、自分が“また”無力なことを思い知らされ、虚しく感じた。
「話、変えるけどさ、…桐生って本当は春乃さんのこと好きなんでしょ?」
「!」
「何で断るのかな〜と思って。しかも嫌いって言うほど。せっかく両想いなのに」
「……それは、」
「……やっぱり、“あれ”?…“あおくん”」
「!……」
「春乃さんも、桐生が思うほどのこと思ってないよ。きっと。確かに変わっちゃったけどさ」
「……」
「そろそろ卒業なんだよ。正直に話してちゃんと言いなよ。
…俺みたいに後戻り出来ないようなこと、なってほしくない」
八の字をした郁人は、まるで俺を後押しするように、忠告するように、俺に告げた。
「……」
その時、ふと1年前のことが蘇ってきた。