先輩が私にフキゲンな理由《10月〜大幅修正開始予定》
閉ざされた口から開いた事実はとても残酷でしかなかった。


「私の、せいなんです…っ


私がちゃんと前見て歩いてなかったから…っ」


もう、いい。


もういいから。


それ以上、もう思い出さなくていいから…っ


抱きしめたい衝動で思わず抱きしめそうになったが、そんな俺を遮るように櫻井が春乃を抱きしめた。


「う…ぅ…あお、くんっ…」


「大丈夫、大丈夫だから。俺が、そばにいるから…っ」


「ぅ…う…あい、くん…っ」


ただ同情することしか出来なかった。


好きな子がどんなに悲しい思いをしてたとしても、


自分では無力なことをはっきり分かっていたから。


それでも、そばにだけはいたいと思った。


けど居れなかった。


居れるわけがなかった。


積み重ねてきた時間が、俺らの仲を証明しているから。


だから俺は、また、見ることしか出来なかった。
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