サマータイムラバー
『凪はさ、どうせ俺のことなんて好きじゃなかっただろ?!』

 ちょうど三日前、八つ当たりのように投げつけられた周吾の別れ際の言葉がフラッシュバックする。

(なによそれ、私はちゃんと……)

 好きだった。好きなはずだった。
 
 でもいつからか、好きなところよりもちょっと嫌なところが目につくようになっていて。一緒にいる時も、仕事のことや次の日に一人でしたいことを考えることが多くなってきていて。
 
 いろんなことで水増しされて、多分付き合いたての頃より好きの気持ちが薄まってきていた。だから、周吾の言葉にも反論できなかった。

(でも、だからって浮気を正当化していいわけないでしょーよ)

 今日、周吾は告白されて付き合い始めた彼女と半年記念日らしい。凪と別れたのはつい三日前なのに。
 つまり同時並行――別れるつもりだったとはいえ完全なる浮気である。うっかり口を滑らせた周吾を前に、私を切ってから次に行きなさいよ、と凪が心の中で毒づいたのは言うまでもない。
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